部活 高校編
前回↓
中学生の頃、部活に入ることを諦めてしまったので、高校こそは何かしらの部活に入ろうと思っていた。
私は、中学時代は話せなかったことによって、暗黒の時代を過ごさねばならなかったため、とにかく高校では、何がなんでも同級生と喋って、変な目で見られたり、孤立したりすることがないようにするんだと心に誓っていた。
だから、入学直後は、話しかけてくれた子や、挨拶をしてくれた子、仲良くしようとしてくれた子には最低限喋ろうと思っていたから、正直自分としては死ぬ気で頑張って話をしていた。
そうやって日々を過ごしていると、だんだんクラスでは仲のいい子のグループができ始めるのだが、やっぱり無理矢理にでも喋っていたおかげで、中学生の頃は、グループができていく波に乗れずにいたのが、高校で私も仲良しグループに入ることができたのである。
と、ここまでがこの話の前置きである。
部活の話に何故この前置きが必要だったかというと、私が高校で入った部活が、高校入学したてのころの仲良しグループの中の1人と私の2人だけの部活だったからである。
その子も私も歌うことが好きだったが、私の高校には歌う部活が無かった。
それで、その子が高校の音楽の先生に話をした所、その子と私だけの合宿部ができたのである。
部活では、ピアノを弾きながら2人で合唱曲を歌っていた。
ただ、しかし問題があった。
私は今でこそカラオケのサークルやオフ会で人前で歌うことができているが、当時は、人と話す以上に人が見ている前で歌うことは難しいことだった。
「高校に入って話せているのだから、歌うことだって頑張ればできるはずだ!」
と思っていたが、実際は話すのだって無理矢理やっていたから、それより難しい歌うのは、口を開けることしかできなかったのである。
そうしているうちに、2人で一緒に合唱部になった子は、当たり前だが合唱部に入ったくせになかなか歌わない私を見てかなり不審に思ったみたいで、
「なお、ちゃんと歌ってよ!」
と怒るようになってきた。
その上、高校では頑張って話すと心に決めていたものの、この世で1番苦手なことを「頑張る!頑張る!」でやるのはやっぱり長くは続かないものだった。
1学期の間は何とか普通に周りに溶け込める程度には話せていたが、夏休みが明けると、中学生時代までにだんだん近づくように、学校で言葉が出なくなっていった。
中学生までの話せない状態はもう二度と繰り返すまいと固く誓っていたのに、どんどん喋れなくなっていくとき、すごく焦っていて、「話さないと!」という気持ちだけは大きくなっていったが、気持ちだけでは結局どうにもならなかった。
そして、歌わない上に話さなくなった私に対して一緒に合唱部をやっていた子は私を完全に嫌いになってしまい、合唱部は消滅、その後仲良しグループの子達皆に避けられるようになった。
こうして、私は再びクラスで孤立し、口から言葉を発することもままならなくなってしまった。
それ以降、中学時代同様、授業を受けに行くために学校に行くだけでいっぱいいっぱいになってしまい、新たに部活に入ることは無かった。