忍び
私は口数が少ない。
しかも、声を発しているのに相手に届かないことも非常によくあるこった。
例えば、その場にいるのに周りには本気でいないと思われていて、誰かが私がいることに気づいて
「わーっ!なおさんいたの!?」
と言うことがよくある。
「いたの?」
だなんて、なかなか失礼だな!
と思うのだが、冗談とか、私を馬鹿にしたりだとかの意図は感じられず、純粋に本当にびっくりしているようなのだ。
また、私がその場から自宅に帰った後には、
「え?いつの間にかなおがいなくなってる!」
という事態によくなっているらしく、
「帰るときはこそこそ帰らないで、『 帰ります 』って言ってね!」
と注意されてしまうこともよくあるのだ。
「え...?私ちゃんと言ったんだけどな...」
と思いつつも、相手に伝わってなければ意味がないとは私も思うので、頷くしかない。
私にはどうやら、外に出ると気配を消す能力があるらしい。
だから、
「なおさんは忍者だ」
と言われることすらあるのだ。
今の世の中で生きていくのに、気配を消す能力は本当に必要無い。
だから、忍者とか言われても全く嬉しくない。
もっと存在感のある人間になりたいです。