文集
学年が終わるときや、卒業するときには、学校で文集を作るよね?
私の文集について話そうと思います。
私は、文集があまり好きではなかった。
まず、私は嘘を書いていて、書くとき全く楽しくなかったからだ。
嘘を書いたのは、文集には、将来の夢や好きな歌手や芸能人を書く欄が必ずあったけど、私がちょっとでも皆が私に持っているイメージと違うことをすると、クラス中の大騒ぎになるからだ。
皆は私のことを大人しくて真面目で暗いと思っていたことだろう。
でも、それは緘黙症のために声を出せなかったり、表情を変えられなかったりするからそんな感じになっているだけで、本来の私は大人しくもなければ真面目でもなく、そこまで暗くもなかった。
私は小中高生のときはずっと声優か歌手になりたかったし、1番好きな歌手はずっと浜崎あゆみ様だったけど、私の学校でのイメージと全く合わなくて、皆に騒がれるのが目に見えていたので、書けなかった。
つまらない嘘を書くのが楽しくなかったから文集が嫌いだったというのがまずひとつ。
あと、文集にはメッセージ欄があった。
これは、仲のいい子からメッセージを書いてもらう欄で、仲のいい子達がお互いに
「私の書いて!」
と言って書いてもらっていた。
私は学校で口がきけなかったので、
「私にメッセージ書いて!」
と頼むことができなかった。
それでも、私の数少ない友達は、私がお願いしなくても書いてくれたし、私にもメッセージを書かせてくれた。
でも、メッセージの欄は沢山の人に書いてもらえるように大きめに作ってあって、皆はメッセージ欄いっぱいにメッセージを書いてもらっていたけど、私のメッセージ欄は空欄が大きくあった。
私は友達が書いてくれればそれで良かったのだけど、担任の先生は、やっぱりメッセージ欄が文字で埋め尽くされてない私のページを哀れに思ったのか、私を呼び出して
「メッセージ少ないけど大丈夫?」
と言ってきた年があったり、そんなに仲良くない子に無理やり私のメッセージ欄を書かせたりしていた。
わざわざ呼び出されると、
「友達が少ないことは悪いことなのかな?」
と思ってしまうし、無理に書いてもらうのもすごく申し訳なくて、そもそもメッセージ欄など無ければこんな気持ちにならなくても良かったんじゃないかと思っている。
そして、もうひとつ嫌だったのが「○○な人ランキング」
クラスメイトにアンケートを取って、例えば明るい人ランキングとか可愛い人ランキングとか優しい人ランキングとかモテそうな人ランキングとか、いろいろランク付けをするコーナーがあった。
だいたい、ランキングに入るのはクラスの中心になるような子達で、私にはあまり関係が無いものに思われたが、話せなかったことで逆に目立っていた私はテンションが低い人ランキングで選ばれていた。
そんなのに選ばれても全く、これっぽっちも嬉しくないからそんな項目廃止して欲しかったけど、何も言えなかったな。
そんなわけで、私は文集が好きではなかった。
でも、ランキングで印象に残っていることがひとつある。
それは、「将来、今と大きく変わっていそうな人ランキング」に私がランクインしていたことだ。
あの話せなかったときから、私はどのくらい変われたのかなぁ。
今もまだ話すの怖くて仕事もあまりできていないけど、全く話せない状態からは抜け出せたなぁ。
でも、思ったより変わってないなぁ。もっと外でも自分を出せるようになりたいな、とときどき思うのです。