大人しい子にも
高校デビューに失敗した私は、やはり話ができなくて、高校入学後だんだんとできていく友達グループに入ることができず、結局孤立しかけていた。
そんなとき、救世主が現れた。
クラスの中で比較的大人しめな仲良しグループから声をかけてもらい、そのグループに入ることができたのだ。
孤立するかと思われたが、仲良しグループに入ることができたのだ。
これはチャンス!
私は、その子達とちゃんと話をしてずっと仲良くしていたいと思った。
だから、死ぬ気で頑張って喋って、とにかく話せなくなってまた孤立してしまうことだけは避けたいと思っていた。
自分から携帯の連絡先を聞いたり、話しかけたり、頑張った。
そう、私はめちゃくちゃ頑張って話していたのだ。
それがいけなかった。
仲間はずれにされ、孤立することをひたすら恐れて、無理矢理頑張っても、それをずっと続けることは非常に難しく、大変なことだった。
だから、仲良くなった最初らへんはすごく頑張って話をしていたが、それが、半年ほど経つとだんだんと声がまた出なくなっていき、中学時代までずっとあった緘黙がじょじょに戻ってきて、ついにはほとんど話せなくなってしまっていた。
一緒にいても、私だけ黙ったままでいて、それが変な空気を作ってしまうようになっていった。
そして、ついに私はグループの子達から距離を置かれるようになった。
それでも、私は仲良くしたかったから、グループの子にメールを送った。
内容は、
「私、嫌われることしたかな?これからも仲良くして欲しいから、悪いところがあったら教えて欲しいな」
という内容だった。
それに返ってきた返事は、
「なおちゃんが喋ってくれないから、私達はなおちゃんとどう接していいかわからない。喋ってくれないと仲良くできないかもしれない」
だった。
こんな返事が返ってくることは予想していたが、
「あぁ、また話せない自分に戻ってしまったのか」
とか、
「私は死ぬほど頑張り続けないと誰にも受け入れてもらえないのか」
とか、
「大人しい子達のグループに馴染めなかった。私はやっぱり普通とは違うんだ」
とか、いろんな意味で絶望的な気持ちになっていた。
その子達が、私に対して、どう接していいかわからなくなるのもよくわかるから、そんな自分への嫌悪感で涙が止まらなかった。