相撲
私は、幼稚園に通い始めたあたりから場面緘黙症によって、1歩家から外に出ると話せなくなっていた。
だから、外ではとても静かな女の子だった。
一方、家ではどうだったのかというと...。
わがまま炸裂、いつも偉そう、
「あんたのものはなおのもの、なおのものもなおのもの」
なジャイアン女だったのだ...。
この記事にも書いたが、私の横暴な態度は、特に弟に向けられていた。
本当は話せるのに、自己主張できるのに、外では魔法にかけられたみたいに話せなくなるストレスが強かった私は、私より年下なのに話すことができている弟に対して強い劣等感があった。
今思えば、その劣等感から、弟に当たり散らしたり、わがままを押し付けたりしてしまっていたのだと思う。
もう、本当に最低な姉だった。
私が弟に働いた悪行
- 弟のおもちゃを我が物顔で勝手に使う
- 弟が少しでも私の意に反した行動をしたら「なおの言うことが聞けないの!?」とキレる
- 機嫌の悪いときに弟に話しかけられると無視
- 5個ある食べ物を半分ずつ食べる際、弟が3個食べたら般若のように怒る
他にも沢山あったと思うけど、小さいときは主にこんな感じで、ひどい態度をとっていた。
そんな感じで私は小学校低学年、弟は幼稚園児になっていた。
何があったかは忘れたが、また私が弟に思いっきりきつく怒って、弟が母に泣きついたことがあった。
そのとき、母に呼び出され、
「あんたね!いい加減にしなさいよ!
たっくん(弟)は、あんたのサンドバッグじゃないんだよ!」
と怒られた。
その後、母は私と弟を向かい合わせに立たせ、相撲を取らせたのである。
母は、私に何もやり返さない弟に、やり返すチャンスを与えたかったのだと思う。
私はというと、
「は?たっくんと相撲?
どうせ私が勝つし(°σ¨_°)」
と思って余裕をこいていた。
ところが!
いざ相撲を取ってみると、秒で弟に投げられて私は敗北してしまったのである。
何が起こったのかわからなかった。
でも、負けてしまったという事実がわかってくるにつれて、涙が出ていた。
負けてしまったことの悔しさというよりは、弟が私に本気で向かってきたことに対し、衝撃を受けてしまったのである。
まぁ、当時、私は小柄で痩せており、逆に弟はぽっちゃりしていて大きかったから、体格を考えると私が負けるのは当たり前だったんだけど、私にとっては衝撃だった。
そんな私に、母が
「たっくんだって主張するんだよ。今までの態度謝りなさい」
と言った。
私はその時初めて弟に謝罪して、お互い握手して仲直りした。
この出来事によって完全に弟への態度を軟化させるようになったわけではないけど、弟を本気で怒らせたらやばいかもしれない、と思い、少し態度に気をつけるようになったのだった。